No.1とだけ書かれた薔薇──その正体は『ラ・プルミエール』

ある日、園芸店で見かけた薔薇苗のラベルに、こう書かれていました。

「No.1」

品種名でもなければ、作出者も不明。
ただ、妙に惹かれる、ふっくらとした蕾とサクラ色の花。
一体、この薔薇は何者なのか?

その「謎のNo.1」の正体が、実は──
フランス・ギョー社作出の名花『ラ・プルミエール(La Première)』なのです。


ラ・プルミエール──“一番”にふさわしい薔薇

La Premièreはフランス語で“最初の”、“一番の”という意味。
その名の通り、庭に迎えたとき、まるで春の幕開けを告げるかのように咲き始め、
柔らかなサクラピンクの花びらを、そっと、うつむき加減に開きます。

香りは控えめながら、花もちが良く、
四季を通じて繰り返し咲く性質と、整ったカップ咲きのフォルムがとても魅力的。

しかも大株になると、びっしりと花をつけて実に華やか
その姿はまさに「No.1」にふさわしい、気品に満ちた薔薇です。


なぜ「No.1」と表記されるのか?

このラ・プルミエール、時折「No.1」という表記のみで販売されていることがあります。
理由はシンプル。

La Première=“最初の、一番”=No.1

つまり、直訳のラベル表記なのです。

特に、輸入苗や業務用ラベルでは正式な品種名が省略され、
簡易的に「No.1」とだけ記されていることが多くあります。

そのため、「No.1って品種名?新作?登録ミス?」と戸惑う方も少なくないはず。
でも、もしあなたの庭に「No.1」のラベルをつけたサクラ色のうつむき咲き薔薇があるなら──
それはこのラ・プルミエールかもしれません。


育ててみて分かった、実力派の優等生

我が家でも、この薔薇は春から秋にかけて何度も咲いてくれます。
サクラピンクのやさしい色合いは、強い日差しの中でも柔らかく見え、
庭全体をふんわりと明るくする力があります。

香りは淡く、あまり自己主張はしません。
けれど、その控えめさもまた、この薔薇の魅力。
まるで、主役を引き立てる名脇役のように、ほかの植物や景色と調和してくれます。

大株に育てると、一斉に花を咲かせた時の景色は見事のひと言。
庭の主役としても、脇役としても活躍してくれる万能タイプのエレガントローズです。


最後に──「No.1」と呼ばれる理由を知ったら、もっと好きになる

名札に「No.1」と書かれていると、ちょっと気取っているような、不思議な印象を持たれるかもしれません。
けれど、そこに込められているのはフランスの育種家の誇り

「この薔薇があなたの庭にとって最初の、そして一番の存在になりますように」
──そんな願いが込められているのかもしれません。

ラ・プルミエール。
その名のとおり、私の薔薇のある暮らしの“はじまり”を照らしてくれた薔薇です。

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