『ガラスの仮面』考察——紫の薔薇の人が贈った薔薇はどの品種?
こんにちは、ブログ主のエンゼル佐藤です。
今回は、少女漫画の金字塔『ガラスの仮面』に登場する“紫の薔薇の人”こと速水真澄氏がマヤに贈った紫の薔薇について考察します。
『ガラスの仮面』は、漫画家・美内すずえ氏による超ロングラン作品。1975年(昭和50年)12月5日に連載がスタートし、休載期間を挟みながらも令和6年現在も連載中という驚異的な歴史を持つ少女漫画です。
貧しい家庭で育った主人公・北島マヤが、演劇の才能を開花させていく成長物語。そんなマヤを陰ながら支え続けるのが、あしながオジサン的な存在である速水真澄です。
正直、筆者は『ガラスの仮面』を熱心に読んできたわけではありません。しかし、“紫の薔薇の人”がマヤに贈る紫の薔薇が一体どの品種なのか? という疑問が非常に気になり、薔薇愛好家として考察せずにはいられませんでした。
では、速水氏がマヤに贈った紫の薔薇の正体を探っていきましょう。
1975年当時、日本に流通していた紫の薔薇は?
まず、1975年(昭和50年)当時、日本で市場に出回っていた紫の薔薇の品種を確認してみましょう。
この時点で、日本で流通していた代表的な紫の薔薇は以下の2種類のみ。
① ブルームーン(Blue Moon)
- 作出年:1964年(ドイツ)
- 花形:カップ咲き(半剣弁咲き)
- 香り:ダマスク系の強い香り(沈丁花に似た芳香)
- 特性:病気にやや弱く、花持ちは短め
② マダムビオレ(Madame Violet)
- 作出年:1975年(日本・寺西 菊雄)
- 花形:高芯剣弁咲き(整った花形)
- 香り:ほぼ無香
- 特性:ブルームーンよりも丈夫で、花持ちが良い
この2品種以外に、個人育成の品種登録されていない薔薇はあったかもしれませんが、市場流通していたのはこの2つと考えられます。
速水真澄がマヤに贈った紫の薔薇はどっち?
速水氏が初めてマヤに紫の薔薇を贈ったのは、**単行本3巻(若草物語のベス役を演じた後)**でした。マヤは高熱を出しながらも毅然と舞台に立ち、その姿に感動した速水氏は、帰り道で紫の薔薇を花屋で見かけ、匿名で楽屋に贈ったのです。
ここで疑問になるのが、速水氏が贈った紫の薔薇はブルームーンか?マダムビオレか? という点です。
考察① 作画に描かれる薔薇の形状
作中で描かれている紫の薔薇のイラストを見ると、高芯剣弁咲きのように見える場面が多いため、形状から判断するとマダムビオレが有力です。
考察② 香りの描写
作中で、マヤが紫の薔薇を受け取った際に「綺麗」と言うシーンはありますが、香りについての言及はなし。
もしもブルームーンだった場合、強い香りに言及される可能性が高いので、無香に近いマダムビオレが有力かもしれません。
しかし、ここで思わぬ伏兵が!
2013年『別冊花とゆめ』付録の「バラの香りつき速水真澄ポスター」
実は、2013年に発売された『別冊花とゆめ』2月号には、なんと**「バラの香りつき速水真澄ポスター」**なるものが付録として付いていました。
筆者の手元にこのポスターがあり、今回、ついに開封の儀を執り行いました。
香りを嗅いでみると……
「こ、これは……薔薇というより、お部屋の芳香剤?」
残念ながら、この香りは参考になりませんでした(笑)。
しかし、ポスターのイラストに描かれた紫の薔薇はカップ咲きの雰囲気があり、ブルームーンに見えなくもないのです。
結論:速水氏が贈った紫の薔薇は…?
様々な要素を総合すると、
✅ 作画から考えると「マダムビオレ」 ✅ 香りに言及がないことからも「マダムビオレ」 ✅ ただし、ポスターのイラストは「ブルームーン」に近い
という結果に。
結論としては、作中の描写からは「マダムビオレ」の可能性が高いが、ポスターでは「ブルームーン」に近い描かれ方をしている、という曖昧な結果になりました。
いずれにせよ、1975年当時に日本で流通していた紫の薔薇はこの2種のみだったため、速水氏がマヤに贈ったのは「マダムビオレ」か「ブルームーン」のどちらかであることは間違いありません。
紫の薔薇の魅力と薔薇の特性について
紫の薔薇は、その美しさと幻想的な雰囲気から特別な意味を持つ花とされています。
- 香りが強い品種は花持ちが短い(例:ブルームーン)
- 花持ちが良い品種は香りが少ない(例:マダムビオレ)
このように、薔薇にはそれぞれ個性があります。
ブルームーンとマダムビオレについての詳細な特徴や育て方については、別記事で紹介していきますのでお楽しみに!
『ガラスの仮面』と紫の薔薇の世界、ぜひこれからも楽しんでくださいね。