こんにちは、エンゼル佐藤です。 今回は、河惣益巳先生の人気漫画『ツーリング・エクスプレス』に登場するキーワード的な薔薇、『アストレ』について、科学的な視点から検証してみたいと思います。
あくまで考察であり、決して作品を否定する意図ではありません。
むしろ、私は河惣先生の大ファン!ですが、薔薇を実際に育てる者として、「野生のアストレ」という設定が果たして現実的にあり得るのか?を分析してみたくなりました。
この考察は『空想科学読本』の柳田理科雄先生的なスタイルで、科学的な視点から検証するものです。「作品のロマンを壊したくない!」という方は、ここでブラウザを閉じてくださいね。
「事実を知りたい!」 という方だけ、お付き合いください。
「野生のアストレ」は本当に存在できるのか?
作中で印象的なシーンの一つに、シャルルの叔父であるリュシオン・フォーレルが、戦場のルポルタージュ中に「野生のアストレ」に気を取られ、拉致される場面があります。
このシーンを読んだ当時、私も「そんな野生のバラがあったら素敵だなぁ」と夢を見ました。しかし、実際に薔薇を育てるようになって、ある疑問が湧いたのです。
「そもそも、アストレは種で増えるのか?」
バラの増え方には、主に以下の3つの方法があります。
- 苗木を植える(多くの園芸家が利用)
- 挿し木で増やす(一部のバラ愛好家が活用)
- 種を撒く(実生育成。ただし、品種維持は困難)
この中で、自然環境下で「野生のアストレ」が発生するには、「種を撒く」メカニズムが必要になります。
リュシオンのセリフにも、「鳥が種を運んで……」というくだりがあります。
しかし、ここでストップ!
アストレの種って、そもそもできるの?
バラは全て種ができるわけではない!
バラには、種ができる品種と、ほぼできない品種があります。
特に「アストレ」は、1956年にフランスのポール・クロワによって、
- ピース(Peace)
- ブランシェ・マルラン(Blanche Mallerin)
の交配で作出されたハイブリッドティーローズ(HT)です。
HT系統の多くは交配の結果、種を作りにくい性質を持ちます。さらに、仮に種ができても、自然交配によって雑種化するため、親と同じ特徴を持つ保証はありません。
つまり、
✔ アストレが種を作るとは限らない ✔ 仮に種ができても、野生でアストレとして育つ可能性は極めて低い ✔ アストレの花園が戦場に自然発生するのは、ほぼ不可能
ということになります。
では、本当にアストレが種を作れるのか?
実験!アストレに種を作らせてみる!
現在、我が家には2年目になるアストレが3本育っています。
通常、バラ栽培では花後に花殻を切る「剪定作業」を行います。これは、木の消耗を防ぐために必要な作業ですが、種ができるかどうかを確かめるには、あえて結実を試みる必要があります。
✔ 1年目:新苗は基本的に花を咲かせず、木の成長を優先 ✔ 2年目:花の数を調整しながら開花 ✔ 今年(3年目):結実を目指して種を作らせる!
アストレが種を作る品種なのかどうか、実際に試してみます。
この実験で分かるのは、
- アストレに種ができるかどうか
- できた種が発芽するかどうか
- 親と同じ形質のバラが咲くのかどうか
結論として、野生でアストレが繁殖する可能性はほぼゼロ ですが、実験としてはとても面白いですよね!
この結果は、今年の夏ごろには判明する予定です。
まとめ:野生のアストレはロマンだが、現実は厳しい
『ツーリング・エクスプレス』に登場する「野生のアストレ」は、物語としては非常に魅力的ですが、科学的に考察すると実現は難しいことが分かりました。
✔ アストレが種を作るかどうか不明 ✔ 作れたとしても、同じアストレになるとは限らない ✔ 野生で生息する可能性は極めて低い
しかし、「野生のアストレが存在したら素敵だなぁ」と思わせるのが、フィクションの魅力ですよね。
果たして、アストレは種を作るのか?
実験の結果は、今年の夏ごろにお知らせします!
「ツーリング・エクスプレス」ファンの皆さん、薔薇好きの皆さん、ぜひ楽しみにしていてくださいね!